老健は利用者の回復に関われる魅力がある

特別養護老人ホームと混同されがちな介護施設の一つに、「老健」と呼ばれる介護老人保健施設がある。特養と同じく公的施設だが、長く住む場所ではなく、リハビリによって在宅復帰することを目的にしている点が大きく異なる。病院と家の中間施設としての位置づけとなるため、退院後すぐ自宅へ戻るのに不安を感じる高齢者が主に利用することになる。また、老人ホームへ入居する前の仮住まいとして使われる場合も多く、入居期間の目安は3~6ヶ月程度で、ユニット型個室の利用料は13万円程度、多床型の利用料は8万円程度であり、これに医療費がプラスされるそうだ。

そんな老健で働いているのは介護職員だけでなく、看護師や理学療法士を中心とした機能訓練員なども含まれる。介護職員の働き方は、特養やその他老人ホームよりも、利用者の回復などに焦点を当てたサービスが強く求められるのが特徴だ。医師の指導の下、機能訓練員らと連携することや、より早く自宅へ戻れるように支援することがポイントだ。

しかし、仕事内容の多くは、他の入所型施設と大差はない。主な仕事は、食事や入浴、排泄などの身体介助や日常生活での様々なケアやレクリエーションの実施だ。時には退院同行や緊急時の対応も行うケースがあるそうだ。特養に比べると介護度が低い人が多く、在宅復帰が前提のために利用者の意識が前向きな傾向にある。また、回復していく姿も見られるため、職員の精神的、身体的負担は少ない施設と言えるだろう。それに加えて、利用者の回転率が高いので多くの症例に関われるし、医療知識も習得しやすい。

今回は介護老人保健施設にスポットを当ててみたが、介護施設には、通所型や訪問介護をはじめ、様々なサービスを展開しているところが数多くある。それぞれに介護職員の働き方も違ってくるので、これから介護業界への転職を視野に入れている方は、各介護施設の特色をリサーチして自分に合った職場を選んでほしい。